作者:みよしあやと
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あらすじ
時は戦乱の世。兄弟のように、はたまた番の鳥のように仲が良い天陽と雨流は、とある国の精鋭部隊に属していた。二人は共に暮らし、共に戦い、絆と愛を深めたが…別れは唐突に訪れる。雨流は敵地にて、最期に約束と口づけを残して絶命してしまった。そして二年後、天陽は雨流との約束を支えに生き続け、敵将・欠月に奇襲を仕掛ける。しかし、振り返った欠月の顔は懐かしく愛おしい雨流そのものだった。たとえ記憶が薄れたとしても、身体は忘れない。「この男からどうしようもなく雨流の匂いがする」――失くした愛の行方を追う中華風ヒストリカルBL、開幕。
電子書籍サイトebook Japanより引用
ジャンル #中華BL #幼馴染 #記憶喪失 #男前攻め #美人受け
世界観・前置き
北の蒼、南の朱、2つの国に分かれてからは戦争を繰り返していた。
・北の蒼国…呪術を使う。敵国。
・南の朱国…暗殺術を使う。主人公の天陽、雨流が住んでいる。
物語の始まりは天陽が蒼国の砦に攻め込み、敵将である欠月に奇襲をかけたはずが、その人物は2年前に亡くなったはずの幼馴染の雨流であった。雨流は天陽のことは覚えておらず、敵国の暗殺者として拷問や処刑を執行する。寸でのところで生き延びた天陽であったが、雨流が屍器である衝撃の事実を知ることとなる。
欠月(敵国の将) ⇔ 雨流 …… 同一人物。生前の記憶がない。
・屍器とは…死者を器に呪術で蘇った不死身の人間。通常、生前の記憶を持たず、人格もないため話すこともできない。屍器は蒼国の桃華という人物が作っている。欠月は屍器の中で意思を持って動く唯一の存在。
⇒囚われていた天陽に、桃華は記憶を取り戻せる可能性があるか探るため、屍器のふりをして欠月の傍で過ごしてほしいと取引を持ち掛けるのです。取引に応じた天陽は、欠月の側近として蒼国に残ることになります。
記憶のない攻めを想い続ける受けが健気
2年前、雨流は戦で深手を負い、天陽に「生きて幸せになってくれ…愛してる」と想いを告げて、そのまま帰らぬ人となってしまうのですが、雨流の意思を引き継ぎ生きている天陽が健気でとても切ないのです。
蒼国で再会した2人は、敵同士であるため雨流(欠月)から拷問を受けたり、決闘処刑で戦うことになったりと、天陽にとって様々な困難が待ち受けているのですが、雨流の最期の言葉を胸に、生きるためにそれらを乗り越えていきます。好きな人から殺されそうになるって想像もつかないほど辛いことだと思うのですが、天陽は一途に雨流を想い意思を貫いている姿が健気ですよね…
処刑を免れた天陽は、欠月の側近として蒼国に残ることになるのですが、その道のりも辛いものとなります。蒼国の兵士として戦に駆り出されたり、欠月には「下手の動きしやがったら殺してやる」と言われ見張られたりと、困難続きなのですが負けない天陽は本当に強いのです。
1巻で印象的なシーンは、天陽が屍器と偽るために背中に入れ墨を入れるシーンです。屍器にするためには背中に紋を入れて呪術をかける必要があるため、屍器には必ず特徴的な紋があり、それは周知の事実なので背中に紋がないと不審に思われます。そのため、桃華は天陽に背中に入れ墨を入れて代用することを提案すると、天陽は「それが雨流に繋がることなら俺はなんでもやる。墨を入れてくれ。他に必要なことがあればそれも全部…!」と迷いなく言い切るのです。痛い思いをして自分を犠牲にしてでも、雨流(欠月)の傍に居たいって本当に健気すぎます…
不器用だけど優しい攻め
天陽のことを覚えていない雨流(欠月)なのですが、なにかと気遣ってくれたり守ってくれたりと、やり方は不器用だけど優しいのです。
側近、監視対象として一緒に過ごすことになった2人ですが、戦場では天陽のことを庇ったり、「戦う気がないなら下がってろ。」と言って下がらせたりと、不器用ながらも守ってくれるのです。守る対象は天陽だけではなく、同じ屍器である仲間が傷つかないように守りながら戦っていて、欠月は根本から優しい人なのだなと感じました。「俺たちは物で兵器だ!!!どれだけ腕がもげようが足がちぎれようが、縫い合わされてまた動く!!!いくらでも替えが利く!!…だからいちいち心配なんざしなくていい。」と口では言いながらも、繰り返し傷つく仲間を見るのが辛くて、そう自分に言い聞かせている欠月……感情があるが故の葛藤や痛みを天陽は理解して受け止めてくれます。この場面はとても切ないながらも、欠月と天陽の距離がぐっと近づく感動的なシーンでした。
他にも入れ墨を入れる痛みに耐える天陽の辛そうな姿を見て、つい彫り師の手を掴んで止めようとするシーンも印象的です。なぜ自分が止めたいのか分からないが、せめて痛みに耐える天陽に何かしてあげたいと「今日はずっと見張りばっかでうんざりだ。俺にもなんかやらせろ。」と不器用ながらも気遣う言葉を掛けます。それに天陽は欠月の手を握りながら「このまま俺の手を握っとく…ってのが仕事ってことでどうだ?」と甘えるのですが、それがあざと可愛くてキュンとしてしまいました!
入れ墨を入れた後、熱を出して寝込んでしまう天陽を看病したり、痛む背中が当たらないように一晩中添い寝して体を支えてくれたり、自分は食べる必要がないご飯を天陽のために作ろうとしてくれたりと、欠月の優しさが溢れて止まりません!言葉では「間抜けな面しやがって」や「物覚えも悪いのかよ。」などと結構きついことを言いながらも、なんだかんだ優しくしてくれる欠月のギャップにやられました///
記憶を失くしても惹かれあう2人
2人で過ごす時間が増えるほど、天陽のことが気になり、雨流としての記憶がなくても惹かれ始める欠月。この感情がなんなのか分からない欠月は、「昨日もお前にこんな風に触れたくなった。」「それじゃ足りなかった。噛みついてやりたいような、奥の底まで暴きたいような…!なあ教えてくれ、「人間」はこれをなんて呼ぶ?」と天陽に率直に聞いてしまうのです。その言葉から欠月が自分に恋愛感情を持ち始めていることに、雨流の記憶を取り戻すことを目的としていた天陽は戸惑ってしまいます。
桃華の目的を知り、自分も同じように欠月を利用して、雨流の記憶を取り戻そうとしている罪悪感を感じる天陽。それでもまた雨流に会いたい気持ちと、欠月に惹かれ始めている自分に、今後どうしたらいいか悩んでしまいます。そんな思いを抱える天陽の気持ちを見越しているように、「いなくなるな。どこへも行くな。急に消えたりするな…俺の傍にいろ…!」と縋りつくように欠月は天陽を抱きしめて伝えるのです。抱きしめられたことで欠月は欠月として存在しており、それを蔑ろにすることもできない天陽は、葛藤しながらも欠月の熱いキスを受け入れます。天陽に対する気持ちがなんなのか尋ねる欠月に対して、分かっていながらも自分や欠月の気持ちに気付きたくない天陽の「分かんねえよ…」と言うシーンはとても切なかったですね…
まとめ
さて良い所で2巻へ続くことになるのですが、今後、欠月は雨流としての記憶を取り戻すことができるのか、2人の関係はどうなるのか気になりますね!
2巻は来冬頃に発売予定だそうですよ。早くも2巻が待ち遠しいです‼
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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